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Asked questions

IMS JAPANによく寄せられる、エンバーミングについての質問を集めました。
ご質問・ご相談がありましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

※ 出典:厚生労働行政推進調査事業費補助金(厚生労働科学特別研究事業)
エンバーミングのプロトコル策定等研究班

エンバーミングとは何ですか?

エンバーミングとは、遺体の殺菌、防際、修復を行う技術です。

遺体からの感染防だけでなく、腐敗による死後変化を遅延させ、生前に近い姿に復元することで、遺族のグリーフケアの観点からも重要な役割を担います。
また、海外へ(または海外から)遺体を移送する際の衛生保全を目的として行う場合があります。
日本ではまだあまり認知されていませんが、アメリカやカナダでは葬送に際して一般的に行われており、ヨーロッパやアジアの国々でも広く普及しています。

エンバーミングはいつから行われているのですか?

遺体保存技術の歴史は長く、その起源は古代エジプトのミイラまで遡ることができます。その後、中世ヨーロッパにおいて、医学研究のために解剖学的な見地から遺体保存が行われるようになり、血管に防腐液を注入する方法が取り入れられました。
近代になり、1860年代のアメリカの南北戦争で兵士の遺体を遠く離れた故郷に帰す必要があったことから、保存技術が大きく発展しました。その後、ベトナム戦争でも多くの遺体にエンバーミングが行われ、さらに研究が重ねられた結果、現在の方法が確立されました。

日本におけるエンバーミング施行率を教えてください。

全死亡者数の3.2%(2017年)です。

2015年以降、年間5,000件以上のペースで増加していますので、今後も需要が高まっていくと考えられます。

エンバーミングのメリットやデメリットを教えてください。

感染防御や腐敗抑止といった衛生面の他、修復とメイクによって生前の故人らしさを回復することが可能です。

また、近年、家族の地理的分散や火葬場の混雑から、葬儀までの日数が長期化することが少なくありません。そのような場合でも、故人の安らかな姿を保ち、衛生的にも安心して過ごすことができ、時間にゆとりを持ったお別れを可能にします。
デメリットは、専用の施設でしか処置を行うことができないため、遺族と故人が離れる時間ができてしまうことです。

エンバーミングでどのくらいの期間保存ができますか?

2週間程度は問題なく保存できます。

技術的には、環境管理と定期的なメンテナンスを行えば半永久的に保存が可能です。しかし、日本では49日で主な祭祀を終えるという慣習があることなどから、多くの事業者で、保存期限を50日以内としています。(海外移送の場合を除く)

ドライアイスによる保存とは、どのような違いがありますか?

ドライアイスによる保存は、主に胸腹部を冷却して腐敗を遅延させますが、全身の腐敗を防ぐことはできません。また、多量のドライアイスを遺体に乗せるため、遺族の心情にも負担を強いることがあります。
エンバーミングでは、体内への薬品注入によって全身の防腐殺菌を行うため、ドライアイスよりもはるかに防腐効果が高く、凍結や結露がない自然な状態で保存することができます。

数日内に火葬してしまうのに、なぜエンバーミングが必要なのですか?

遺体は気温や生前の病気等の条件によって、たった1日でも腐敗が著しく進行する場合があります。ドライアイスではこれらの変化を十分に防ぐことはできません。
また、死亡者数の増加や火葬場の状況によって、火葬を待つ日数が長くなる場合など、遺体にエンバーミングを行うことで衛生的に安全な状態になり、遺族が安心して故人との大切な時間を過ごすことができます。
さらに、エンバーミングでは故人を安らかな表情に整え、病気による痩せ窪みや事故等による損傷の修復が行えます。生前の姿に近づけ、より良いお別れを実現するための技術でもあります。

エンゼルケアや湯灌との違いを教えてください。

エンゼルケアは、一般的に病院で行われる死後処置で、アルコール綿での清拭、浴衣等への着替え、綿詰め、化粧を行うものです。
湯灌は、死者の体を清めるという儀式的な意義に基づき、エンゼルケアと同様の死後処置、衣装の着付け・化粧を行います。また、事業者によっては遺体を清拭ではなく専用の湯船とシャワーで洗浄するといったところもあります。
エンバーミングは、遺体の殺菌・防腐・修復を行う技術です。体の洗浄、衣装の着付け・化粧も行います。

エンバーミングはだれが行うのですか?また、どのようなことをするのですか?

エンバーミングは、資格認定を安けたエンパーマーが、国や自治体が定める法令に則ったエンバーミング専用施設(全国に55施設:2017年)で行います。

エンバーミング施設で遺体を受け入れ、依頼者が署名した処置依頼書を確認します。
脱衣と全身の消毒後、顔の表情を整え、必要に応じて髭を剃ります。次に、遺体に小切開を施し、動脈から防腐用薬品を注入すると同時に静脈から血液を排出します。
その後、腹部から管状の器具を挿入し、胸腔と腹腔内の体液や残存物を吸引します。続いて胸腔と腹腔内にも防腐用薬品を注入します。切開部を縫合し、全身を洗浄、洗髪します。最後に、着付けと化粧を施し、必要に応じて修復処置を行います。
現在、エンバーミングに関する法律はありませんが、資格認定を受けたエンバーマーが適切な方法で処置を行うことに違法性はないと考えられています(平成17年大阪高裁判決より)。
資格認定についてはQ18を参照してください。

エンバーミングにかかる時間や費用を教えてください。

エンバーミングにかかる処置時間は通常3時間程度、一般的な費用は15万円から 20万円程度です。
修復処置の有無、遺体の状態、依頼内容等によって変わります。

エンバーミングの依頼はだれでもできますか?

多くの事業者では、遺族(配偶者ならびに二親等以内の親族)の意思に基づく依頼、あるいは生前の故人による依類の意思表示が文書等で明らかな場合としています。
二親等以内の親族から反対があった場合には処置できないとしています。
配者ならびに二親等以内の親族がいない場合は葬儀施主が、災害等の状況下では行政や警察等が依頼できるとしています。
実際には、依頼者が「エンバーミング依頼書」に自筆で署名することで、依頼が確定します。

エンバーミングではどのような依頼ができますか?

一般的に、顔の表情(開眼・閉口)、痩せみの対応、髭刺り、衣装の着付け、化粧についての要望が行えます。
また、毛染めやマニキュア等にも対応できる場合があります。

エンバーミングにおける防腐処置とはどのようなことをするのですか?

遺体に小切開を施し、動脈から防腐用薬品を注入すると同時に、静脈から血液を排出します。 通常、頚部や大腿部の動脈から全身に薬品を灌流させますが、遺体の状態によって使用する血管を決定します。 例えば、大動脈に何らかの問題があって全身への灌流ができない場合などでは、複数の動脈から個別に注入を行います。また、血管からの注入による防腐が困難あるいは不十分な領域には、薬品の経皮パックや専用器具を用いた皮下注入で防腐処置を行います。

エンバーミングで使用する防腐用薬品とはどのようなものですか?成分は何ですか?

エンバーミング薬品の専門メーカーが販売しているものを使用します。 防腐の主な有効成分であるホルムアルデヒドの他、アルコール類、保湿剤等を含有しています。一時的な保存や環境対策として、ホルムアルデヒド不使用の薬品もあります。 エンバーミング用薬品には、ホルムアルデヒドの含有量や色調等に様々な種類があり、その中から遺体の状態に最も適したものを選択します。

エンバーミングで発生する廃液はどう処理しているのですか?

自治体の指示に従って処理します。

廃液をタンクに収容するか吸収剤で処理したものを、感染性廃棄物として処理業者に回収・処分を委託するという方法が一般的です。
一部の施設では、汚水処理システムを施設の一部に組み込み、化学的な処理を行ったうえで排水しています。

エンバーミングにおける修復処置とは、どのようなものですか。

故人が生前希望した内容や遺族の要望に応じ、病気や事故による損傷や欠損を、修復用の資材を用いてできる限り元の形に復元し、傷やアザを目立たない状態にします。
また、病気による痩せんだ顔貌を含み綿や薬品注射でふっくらとした状態に回復します。
体内に注入する防腐用薬品の色素によって青ざめた肌に赤みを取り戻すことも修復処置の一つと言えます。

どのような損傷であっても修復処置は可能ですか?

損傷の程度や腐敗の進行度によっては、修復処置が不可能な場合があります。
損傷の範囲や状態を踏まえ、遺族の要望を聞き、処置方針が決定されます。

エンバーマーの資格とはどのようなものですか?

エンバーミングの適切な実施と普及を目的として作られた団体(IFSA:日本遺体衛生保全協会)により、資格認定が行われています。
現在、日本における資格認定を受けたエンバーマーは
200名程です(2018年)。

日本で死亡した外国人の遺体を海外に移送する場合、エンバーミングは必要ですか?

遺体のまま移送する際に、エンバーミングを義務付けている国があります。逆に、故人の宗教等により、エンパーミングや火葬を行えない場合もあります。そのため、遺族の要望を確認し、打合せのうえ、移送方法を決定します。

災害時におけるエンバーミングの役割を教えてください。

災害時における感染防やグリーフケアの観点でサポートが行えます。
災害の規模や内容によって制限はありますが、現地で防腐処置を行うことができれば、遺体だけでなく安置環境も衛生的に保つことができます。
また、死後変化を最小限にとどめることで、故人との対面が可能になり、遺族の精神的な負担を和らげることができると考えられます。

国外への搬送も数多く⾏っております。⼤使館の⽅、外国籍の⽅は、「⼤使館の⽅へ」のページをご確認ください。
また、「エンバーミングとは?」のページでは、エンバーミングについて詳しくご案内しております。

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